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”あそびクリエイター”リベットボタン インタビュー

【つくるひとの物語】

”あそびクリエイター”リベットボタン インタビュー

2021.10.26
つながる

これまで全国各地の地域応援ソングや食育ソングなどを手がけてきたリベットボタン。
学生時代に美術やデザインを学んだ経験を活かし、最近は工作素材やキャラクターのクリエイターとしても注目を集めています。
「音楽もイラストも感覚で創る」という彼女のイマジネーションの源をたどりました。

(取材・文/吉田千春)


「あそび」は未来につながる、大切なもの

――アーティストでありながら、「おちゃのまタイムズ」を運営するTAN-SUのメインクリエイターでもありますが、どんな活動をしてきたのですか?

リベットボタン(以下、リ) いろんな地域の応援ソングを制作したり、企業とコラボして楽曲を提供したりしてきました。また、キャラクターイラストやアニメーション動画、LINEスタンプや絵文字なども制作しています。最近はInstagramで工作素材を配信したりと、保育に役立つ遊びの提案やグッズの開発も行うようになりました。

――野菜がパンツをはいた「ベジパンズ」のキャラクターは、工作素材やグッズが大人気ですね。

 ありがとうございます! ベジパンズは畑で野菜を掘り起こしているときに「ほかほかの土のなかにいたのに、外に出てきたらなんだか寒そうだな…」という気持ちから「パンツをはかせてあげよう!」という発想になり、今のキャラクターのデザインになりました。
東洋アルミエコープロダクツ株式会社さんとコラボしたお弁当グッズは、子育て中のかたに好評です。工作素材は主に保育士さんや育児中のかたが購入してくださっています。
「ベジパンズのおかげで野菜を食べられるようになった!」「野菜は食べられないけど、野菜に親しみを持つようになった!」などの声もいただくようになりました。

リベットボタンによるオリジナルキャラクター ベジパンズ

―「あそびクリエイター」という肩書はどんな思いから生まれたのでしょう?

 素材配信を始めてから、自分のイラストや音楽、生み出すものすべてが、みなさんの遊びや楽しみにつながってほしいという思いから、「あそびクリエイター」と名乗るようになりました。小さい頃の「あそび」は一時的なものではなく、記憶に残り、受け継がれるもの。ちいさな工作だとしても、それが未来につながるとしたら、一つひとつの「あそび」はとても大切なものになると思うんです。
さまざまな視点で今までにない、記憶に残る、受け継がれる「あそび」の作品を制作していけるクリエイターになりたいです。

美術も音楽も! 好きなものを追い求めた学生時代 

――ここからはアーティストとしてのルーツをたどりたいと思います。小さな頃はどんなお子さんでしたか?

 本当にわんぱくで、やんちゃな子どもでした。外で遊ぶのが好きで、小学校の高学年まで友達と缶蹴りをして走り回っていました。
でも、走るのはすごく遅かったです。気持ちはわんぱくなんですけど、足は全然ついていってなかった(笑)

――絵や音楽は?

 ピアノを習っている子に憧れて体験コースに通ったことがあるんですけど、1日で辞めてしまいました(笑)。でも、外で遊びまわりつつも、絵を描くことは幼稚園の頃から好きだったので、中学校では美術部に入りました。

――中学時代はどんな絵を?

 美術部では水彩画ですね。風景画が好きでした。
あと、中学時代はマンガやアニメにハマっていたので、アニメのキャラやマンガ寄りの絵をよく描いていました。特に「鋼の錬金術師」が大好きで、将来は漫画家になりたいという漠然とした夢ももっていました。

中学生の頃の水彩画

――マンガとアニメが大好きだったのですね。

 はい。でも中学時代は音楽と出合った時期でもあるんです。
「NIGHTMARE(ナイトメア)」というビジュアル系バンドにハマり、ロックやパンクがすごく好きになりました。初めて自分から音楽を追いかけるというというか、音楽に対して貪欲になったというか……。私の音楽への原動力はそこから始まったのかな、と思います。

――ビジュアル系にロックやパンク! 現在のイメージとかなりギャップがありますね。ギターを弾き始めたのもその頃ですか?

 中学3年の時に1万円ぐらいの安いエレキギターを買って、好きな曲を練習していました。
私、左利きなんですけど、右利き用のギターが主流なので、右利き用のギターを買ったんです。利き手の左手でコードを抑えて、右手は振るだけなんで、すごく楽。ギターってこんなに簡単に弾けるんだ!という感じでした。最初に左利き用のギターを買っていたら、すぐ諦めていたかもしれません。

――バンド活動もしていましたか?

 もちろんです! 歌うことも大好きだったので、高校に入ってからは美術部のほかに軽音部に籍を置いて、ボーカルとして5バンド掛け持ちしていました。
ロック、アニソン、日本のポピュラーなバンドもあればビートルズもあって、ジャンルはすごく幅広かったです。ただ、それぞれのバンドが月に数回しか練習できなかったんですが。美術部の活動が終わったらバンドの練習に行く、という感じでした。

――美術部も続けていたんですね。

 高校進学の時点で美術部に入ることは決まっていたんです。中学時代に美術でいろいろな賞をいただいたので、有名な油絵の先生がいた千葉県立野田中央高校への進学を勧められて。地元でしたし、油絵のコンクールで日本一を取るような高校だったので、私もその先生の指導を受けたくて入学しました。
「教室の絵の具を全部使っていいから、好きなようにやりなさい」というタイプの先生で、生徒がそれぞれテーマを決めて自由に描くという感じでした。
ちなみにこの絵は高校3年の時のもので、コンクールで全国のベスト6に入った作品です。

高校時代の油絵「1人」

――素敵な色彩ですね! 相当な労力と時間がかかったのでは?

 絵は「これで完成!」という答えがないので、納得するまで色を重ねていきます。行き詰まることもあるし、何をしたらいいかわからなくなることもありましたけど、この作品を描いていた時はすごく楽しくて、毎日「早く部活に行きたい!」という感じでした。

人生を大きく変えた、一冊のノート

――当時は、将来どんな仕事をしたいと考えていたのですか?

 広告系やデザインの分野に進めたらいいなと思っていました。なので、高校卒業後はデザインの専門学校に通ったんです。
でも、音楽を辞めたくないなという気持ちがいつも心の片隅にあって。専門学校の進路相談で「すみません、音楽を諦めたくないんです」と泣きながら話したら、先生たちも応援してくださいました。

――専門学校時代はどんな音楽活動を?

 高校時代に組んでいた女子バンドで、ライブハウスによく出ていました。
ただ進学や就職で音楽から離れる友達も多かったので、20歳の時に、一人で歌うのもいいなと思って1万円のアコースティックギターを買って練習を始めたんです。バンドではずっとボーカルでしたし、ギターはブランクもあって、ほぼ初心者の状態でした。
なのに、ある忘れ物が原因で一人でライブをすることになってしまって……。

――ある忘れ物?

 アコースティックギターを始めて半年くらいの頃、ライブハウスに作詞ノートを忘れたんです。
ライブハウスの人から、「これは一体なに?」と。私が曲を作っていることがバレて、「じゃあ一人でやってみなよ!」という流れになったんです。「絶対無理です!!」と断ったんですけど、勝手にライブが決まってしまって(笑)

――すごい。ドラマみたいな展開ですね。

 結局、足が震える思いをしながら、なんとか5曲歌ったんですけど。
もし、その作詞ノートを忘れていなかったら、あの時一人でライブをすることもなかったし、音楽の道に行くこともなかっただろうなあと思います。ある意味、人生を大きく変えた忘れ物でした。

――ちなみに、その歌詞ノートにはどんな歌が書かれていたんですか?

 「リベットボタン」という曲です。私が初めて作った曲でした。

――ここで「リベットボタン」が出てくるとは!

 リベットボタンはジーパンのポッケに付いている小さなボタンなんですけど、小さいけれど複数の布を繋ぎ合わせて補強する役割があるんです。テレビでそのことを知って、曲にしたらおもしろそうだな、と思って作りました。

――その曲が「リベットボタン」の名前の由来に?

 はい。一人でのライブを終えてしばらくして、高校の同級生の男の子に声をかけて、二人でユニットを組むことになったんです。
人と人を音楽でつなげる存在になりたいと思いましたし、自分が初めて作った曲名をつけるのもいいな、と思ってユニット名に選びました。
彼とは家族のような友達関係で、ユニットを解消した今も仲良しですよ。

出合い、そして新しいジャンルへの挑戦

――そこから今の活動への転機は?

 バイトをしながら音楽活動を続けていたのですが、ある日、千葉県柏市でのライブをTAN-SUの山口さんが見に来たんです。それをきっかけに、「高知県日高村にあるオムライス街道のテーマソングを作ってみませんか?」と声をかけてくれて。
そこで「トマトの神様」という曲を作ったのが、今の活動のスタートになりました。

「トマトの神様」リベットボタン

――それまでとは歌のジャンルも違ったと思います。とまどいはありましたか?

 いえ、シンプルに「やりたい!」という感じでした。もともと武道館でライブをしたいとか有名になりたいとかはなかったですし、昔から子どもやおじいちゃん、おばあちゃんが好きでしたから、自分の音楽が届く場所で活動できることがすごく嬉しかったです。
それに「トマトの神様」を作ってみて、「私、覚えやすいメロディを作ることが結構得意かもしれない」という気づきもありました。中学、高校時代にわかりやすいメロディのロックを聴いてきたことが活きているんだと思います。その気づきは自信にもなりましたし、今も曲作りの大きなエネルギーになっていますね。

――やりがいを感じるのはどんな時?

 日高村のかたたちが大勢で「トマトの神様」を歌ってくださったときは、その風景にすごく感動しました。音楽をかけると子どもたちが勝手に踊りだすとか、体で感じてくれている時もすごく嬉しいです。
曲が全然作れなくて、苦労することもありますけど、曲を聴いた方からいい反応をもらえた瞬間は、本当に作ってよかったなあと思います。

子どもたちと過ごした時間から生まれた「工作素材」

――音楽をメインに活動していたわけですが、どうして遊びの素材を手がけるようになったのでしょう?

 2018年頃に地元の知り合いのかたから紹介していただいた放課後等デイサービス(障害を持った子どもが通う福祉施設)で、音楽の講師を月に2、3回やることになったんです。
最初は、みんな「新しい先生が来た!」ってすごく盛り上がってくれました。でも1年も経つと、だんだん集中力がなくなってきて。これはまずい、何かこの子たちを楽しませる方法はないかなと考えて、工作の授業をやってみたんです。

――工作素材は、福祉施設の子どもたちのために生まれたものだったんですね。

 そうなんです。そこから1年間は、どんなことをしたら子どもたちの集中力が上がるか、楽しんでくれるかを研究しながら、音楽と工作を組み合わせた授業を作っていきました。
コロナ禍で授業ができなくなってからは、その施設の子どもたちに向けた工作素材をインスタにちょこちょこアップしていたのですが、それを全国の幼稚園や保育園の先生たちが見てくださるようになって。遊びのアイデアを求めているかた達はすごく多いんだなと気づくきっかけをいただきましたね。

――工作を始めて、インスタのフォロワーもぐんと増えたんですね。

 今は2万3000人くらいかな? 
音楽活動もしているのに、「工作の人」になっちゃったらどうしよう?と悩んだんですけど、インスタを通じて音楽を聴いてくださるかたもいるし、お遊戯や運動会で私の曲を使ってくださる保育園、幼稚園も増えたので、自分を知ってもらうきっかけとしてよかったなと思います。

――工作素材を作るときに、こだわっていることは?

 自分らしいイラストを描くことを意識しています。
フォトショップやプロクリエイトなどのアプリで描くんですけど、デジタルだと単調になりがちなので、油絵の経験を活かして柔らかさとかあったかさが感じられるテイストを心がけていますね。
専門学校でソフトの使い方を学んだことも役立っています。

――すべての経験が見事につながっていますね。スランプはありますか?

 アイデアが出てこないことはあります。
新しいキャラクターを作る時は、どんな設定でどんな性格にするかを決めるんですけど、私はイラストにしろ音楽にしろ感覚で創作するタイプなので、後から「これはどういう子なんだろう?」と考えるのにいつも苦労します。

「リベットボタンのあそびラボ」もスタート!

――息抜きの時間は何をしますか? 

 今はコロナ禍で友達に会えないので、オンラインで話しながらのんびりゲームをしたりします。
あとは推理小説を読んだり、医療ドラマを見るのも好きです。最近読んだ推理小説だと、降田天さんの「女王は帰らない」という作品がおもしろかったかな。

――また意外な一面ですね(笑)。これからどんな活動をしていきたいですか?

 絵本を作りたいです。
あとは、これからも保育に役立つ工作素材や音楽を制作していって、全国の保育士さん、幼稚園の先生たちから「保育のかわいい素材といったらリベットボタンだよね」と言ってもらえるようになりたいですね。
今回、「おちゃのまタイムズ」のサイトオープンに合わせて、新プロジェクト「リベットボタンのあそびラボ」をスタートします。幼稚園の先生がたや保育士のみなさんなど、「サポートするひとをサポート」できる新しいあそびやあそびの素材が見つかる場所にしていきたい。「おちゃのまタイムズ」でも、私やチームのみんなのチャレンジ、制作の裏側などお伝えしていきます!

――近い将来、Eテレに番組を持っていそうな雰囲気も感じます。

 いいですね! 
今、ナレーションのお仕事をいただくこともあるのですが、アニメの声優にも挑戦してみたいです!!

――原点回帰ですね。ぜひ実現してください! 


歌やイラストに、明るさ、優しさ、やわらかさがにじみ出るリベットボタン。
お話を聞くと、人との出会いや小さなチャンスを柔軟に受け入れる素直さ、好きなことを貪欲に楽しむ一途さ、そして目の前のことに丁寧に取り組んできた真面目さが伝わってきました。これからますます活動の場が広がっていきそうです。

トマト
プロデュースバイ TAN-SU

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