TAN-SU街道をゆく!?

北三陸の港町「はちのへ」をゆく、週末ぶらり旅①八戸ブイヤベースと地酒

ニッポン各地の「おもしろい」「新しい」「おいしい」に出会う旅「TAN-SU街道をゆく!?」。シリーズ第3弾となる今回は、青森県の八戸市を訪れました。約600種類とバラエティーに富み、国内屈指の水揚げ量を誇る北三陸の港町です。旅人は、フードディレクターの寺本りえ子さん。ちょっと遠出してみちのくの食文化を体感する、1泊2日の“週末旅”をお届けします。

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八戸といえば、やはり海の幸。中でも近年、新たな名物グルメとして注目されているのが『八戸ブイヤベース』です。いつもより少し早起きして東京駅から東北新幹線で約3時間、お昼過ぎに八戸に到着した寺本さん。「話題の八戸ブイヤベースを食べてみたい」と、早速、ランチに出かけました。

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八戸ブイヤベースの仕掛け人、八戸ハマリレーションプロジェクトの古川篤さんら、今回の週末旅をご案内いただく方々と合流。食事をしながら太平洋を一望できる「八戸シーガルビューホテル」でコース料理をいただきました。

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アミューズ『八戸前沖さばのエスカベージュ』

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オードブル『豚肉のパテ プティサラダ添え』

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メインディッシュ『八戸ブイヤベース』

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そして、お目当てのメイン、八戸ブイヤベース。この日の魚介は、たら、アイナメ、ほうぼう、ホッキ貝、ムール貝、ツブ貝、いかの7種類で、ボリュームもたっぷり。寺本さんは「港町だけに食材が新鮮で、それぞれの旨味や風味をしっかり生かしたブイヤベースですね。とってもおいしい!」とにっこり。

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そもそも、八戸ブイヤベースって何?という方もいらっしゃることでしょう。料理の冠に「八戸」の地名が入るだけあって、このブイヤベースには地元ならではの“こだわりのルール”があります。

❶八戸港に水揚げされる魚介類を4種類以上使用。野菜(ハーブ類、にんにく、トマトなど)も地元産のものをなるべく使う。

❷ブイヤベースを食べた後、魚介のだしたっぷりのスープを活かした各店オリジナルの「締めの一皿」を用意。「ひと皿で二度おいしい」のが八戸流。

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東日本大震災からの復興と、地元の魚食文化を盛り上げようと、八戸市の水産業の有志たちがプロジェクトを立ち上げ、開発したのが八戸ブイヤベース。毎年2月〜3月の2カ月間、市内のホテルや飲食店でブイヤベースを提供する「八戸ブイヤベースフェスタ」を開催しています。年々、参加店舗も増えてきており、各店が工夫を凝らしたオリジナルのメニューが、続々と誕生しています。古川さんは「地元の方々をはじめ、県外からも八戸ブイヤベースを食べに来られる方が増えています」と手応えを感じていらっしゃいます。昨年のフェスタ期間中には、約8,500食を販売し、今ではすっかり八戸の冬の定番料理として知られるようになりました。

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八戸ブイヤベースをおいしくいただいた後、八戸シーガルビューホテルのシェフ・小針一男さんとお会いした寺本さん。魚介や野菜、果物など八戸の食材の特徴や、仕入れや調理の工夫など食の専門家同士、話に花を咲かせました。小針さんは「八戸のブイヤベースを作りましょう、と最初に言われたたときは正直、戸惑いましたね。どういった特長を出せばいいのかと。今でも料理の具材や味付けはギリギリまで考えて、お出しするようにしています」。その日水揚げされる魚介類によって具材や味付けも変わります。各店舗、シェフにとってまさに腕の見せどころ。ブイヤベースをいただく側にとっても、飽きがきません。

料理の味はもちろん、人々の思いが最高の旨味を引き出している八戸ブイヤベースでした。

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おいしい魚料理があるところに、銘酒あり。

「私、日本酒が大好きなんですよ〜」と興味津々の寺本さんをお誘いして、八戸の酒蔵見学へと向かいました。お伺いしたのは「陸奥男山」「陸奥八仙」でおなじみ、八戸酒造です。「男山」と聞いて、いくつか銘柄が思い浮かぶ方もいらっしゃると思いますが、この陸奥男山が全国で最初に「男山」の商標を登録したお酒なんだそうです。

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創業は江戸時代、1775年(安永4年)。現在、8代目の駒井庄三郎さんのもと、青森県産の米と酵母、八戸・蟹沢地区の名水を使ったこだわりの酒造りを行っています。「うわぁ、歴史を感じさせる酒蔵ですねぇ」としばし、建物を見上げる寺本さん。それもそのはず。大正年間に建設された6つの建造物が「文化庁登録有形文化財」「八戸市景観重要建造物」に指定されています。

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さて、取材班を温かく迎えていただいたのは、八戸酒造の宮本則男さん。洗米、蒸米、麹室、酒母室、そして発酵といった酒造りに欠かせない設備や工程を、なんだかホッコリする南部弁全開でご案内いただきました。

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そして、そして。広い蔵内を見学させていただいた後に、同じ蔵内にあるレンガ造りのモダンなホールへと誘われた一行。一升瓶を次々とテーブルに置きはじめた宮本さん曰く、「はい、みなさん。お酒の銘柄を当てていただきましょう」。それぞれの銘柄の特徴などを解説いただき、さあ、いよいよ利き酒タイム。陸奥八仙と陸奥男山2種類の計3銘柄を試飲し、それぞれがどの瓶と同じかを当てていきます。色や香り、そして味わい。いずれの銘柄もおいしく、どれも好み。でも、しっかりその違いを判断するとなると、なかなか簡単にはいきません。真剣な表情で全神経を研ぎ澄ませて…。結果、参加した4人中、全銘柄を当てたのは、TAN-SUの山口泰志プロデューサー1人。さすが、全国の酒どころを飲み歩いている実力を発揮しました。

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納得のいかないのが、寺本さん。「ええーっ、自信があったのにぃ…」。サッと椅子から立ち上がって再び利き酒のテーブルへ。口にふくみながら宙を仰ぎ、頭をひねり、一巡したかと思えばまた1本目に戻ってコップになみなみと。「う〜ん…。おいしい❤︎」。あれっ、利き酒だったんじゃ…? すっかりいい感じに、頬に紅をさして酒蔵を後にしたのでした。

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都心の飲食店でも取り扱いが増えている人気の陸奥八仙は、豊かな香りとさわやかな甘みが特徴です。純米以上の本格的な日本酒ですが、火入れをしていない「生酒」や一度だけ火を入れる「生詰め」、活性炭ろ過をしていない「無ろ過」など、バリエーション豊か。酒と一緒に楽しむ魚介類、その食べ方を熟知している人々の舌をうならせています。寺本さんは「ほんのり香りが甘くて、お魚にも大変合うお酒が多いですね。魚介類の匂いがあまり得意ではないという方にも、八仙との組み合わせだとおいしさをたまらなく感じると思います。お酒そのものはもちろんのこと、一緒にいただく食材の良さを引き出すお酒だと感じました」。地酒のうまさもまた、港町ならではの食文化といえるでしょう。

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さあ、夜も次第に更けてきました。八戸を堪能する週末旅は、まだまだ始まったばかり。いい酒を味わえば、やはりうまいつまみもいただきたいところ。やわらかな電灯と人々の賑やかな語らいに誘われるように、一行は八戸のシンボル的なスポット、横丁へと繰り出しました。(つづく)

text & photo = Kenjiro Yamashita

【旅人のご紹介】

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寺本 りえ子(Rieko Teramoto)

宮崎県五ヶ瀬町出身、東京都在住。株式会社 アモローソ 代表取締役。フードコーディネーター/食育インストラクター、フレッシュスムージーアドバイザー、発酵食スペシャリスト、ナチュラルシードマイスター、漢方養生指導士、きのこマイスターなど。音楽アーティスト、テレビCMのナレーターとして活躍中の2003年より、撮影現場やブランドパーティーなどのケータリング、テレビCMやパンフレットでのフードコーディネートや、飲食店などのディレクション、アドバイザーを務める。2013年よりスムージー用青果宅配専門店「VEGEO VEGECO」(ベジオベジコ)のディレクターに就任。五ヶ瀬町の風土アドバイザー、マクロビスイーツのSweet MOCOMOCOのディレクターも務めている。2016年4月よりスーホルム(アクタス)にて「季節の手仕事」のワークショップをプロデュース開始。新宿伊勢丹、ユナイテッドアローズ、クリナップなどでの講座を好評開催。地域活性や食育の活動にも精力的で、自社ブランドのお茶も販売。2015年4月に著書『JOY of AGING』(宝島社)を出版。

【ウェブサイトのご案内】
八戸シーガルビューホテル(http://www.hsv-hotel.com/
八戸ブイヤベースフェスタ2016(http://www.hhrp.jp/hbb/
八戸酒造(http://www.mutsu8000.com

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